MR認定試験の歴史と今後

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概要

MR認定試験とは、医薬品情報担当者(MR)として必要な基礎知識を客観的に評価するための試験です。MRとは、医師や薬剤師などの医療従事者に対して、医薬品の効能・効果や安全性などの情報を提供する専門職です。MRは医療の質の向上に貢献する重要な役割を担っていますが、その一方で、医療の最前線で常に変化するニーズに応えるためには、高い専門性と倫理観が求められます。そこで、MRの資質向上と社会的信頼の確保を目的として、1997年からMR認定試験が実施されています。

MR認定試験の歴史は、以下のように大きく4つの時代に分けられます。
– 1979年~1996年:プロパー教育研修要綱の時代
– 1997年~2020年:MR教育研修要綱の時代
– 2021年~2023年:MR認定要綱の時代
– 2024年以降:MR認定要綱改訂版の時代

年表

1979国会でプロパー(現MR)資格制度の導入が議論される
1980製薬業界が自主的にプロパーに対する教育研修制度を開始する
1991プロパーという呼称をMRに変更する
1994厚生省の私的懇談会がMRの資格制度の必要性を提言する
1996財団法人日本MR教育センター(現公益財団法人MR認定センター)が設立される
1997MR認定制度の導入を決定し、第1回MR認定試験が実施される
1998第1回MR認定試験の結果が公表され、MR認定証の交付が開始される
2001MR認定試験が年1回になり、東京と大阪の2地区で実施されるようになる
2002認定更新に伴う「補完教育」が開始される
2004MR認定証取得者が5万人台に達する
2005「MR教育研修要綱」が制定される
2006MR研修テキスト(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)が全面改定される
2008MR認定試験受験資格が拡大される
2010導入教育(基礎教育)コアカリキュラムが公布される
2011MR教育センターが公益財団法人に移行し、「公益財団法人MR認定センター」となる
2012導入教育・継続教育・試験の科目が統合される
2015MR認定試験受験者がのべ15万人を突破する
2016導入教育(基礎教育)コアカリキュラムが改訂版を公布する
2018「継続教育検討委員会報告書」が公表される
2019「事業構造改革検討会議検討結果報告書」が公表される
2020MR認定制度の改定を公布する
2021MR認定制度の改定を施行する

1979年~1996年:プロパー教育研修要綱の時代

この時代は、MRという職種が社会的に認知され始めた時期です。当時のMRは、プロパーと呼ばれていました。プロパーとは、プロフェッショナル・プロモーターの略で、医薬品のプロモーション活動を行う専門家を意味していました。プロパーは、医師に対して医薬品の情報を提供するだけでなく、医薬品の納入や在庫管理などの業務も行っていました。また、プロパーは、医師からの要望に応じて、医療機器や文具などの贈答品を提供することもありました。

このようなプロパーの活動に対して、社会的な問題意識が高まりました。プロパーの活動が、医師の処方行動に影響を与えることや、医療費の増加につながることなどが指摘されました。また、プロパーの教育研修についても、企業間での水準の差や、内容の偏りや不足などが問題視されました。そこで、国会でプロパー資格制度の導入が議論されるようになりました。

この議論を受けて、日本製薬工業協会は、1979年にプロパーの教育研修要綱を作成しました。この要綱は、プロパーに対して必ず実施する教育研修の基準として策定されたもので、製薬協の会員企業に対して自主的に適用されました。要綱には、プロパーの教育研修の目的、内容、方法、期間などが定められていました。要綱に基づいて、1980年からプロパーに対する教育研修制度がスタートしました。

プロパー教育研修要綱による教育研修は、以下の3つの段階に分かれていました。

プロパー教育研修要綱による教育研修は、プロパーの資質向上に一定の効果をもたらしましたが、それでもなお、プロパーの活動に対する社会的な批判は収まりませんでした。特に、プロパーの贈答品や接待などの不適切な行為が、医師の処方行動に影響を与えることや、医療の公正性や信頼性を損なうことが問題視されました。そこで、1992年から、プロパーの納入価格関与禁止や流通改善などの規制が導入されました。これにより、プロパーの活動は、医薬品の情報提供に特化することになりました。

また、プロパーの呼称についても、1991年に製薬業界が「MR」という呼称に変更しました。MRとは、メディカル・レプレゼンタティブの略で、医療従事者に対して医薬品の情報を提供する専門家を意味していました。MRという呼称は、プロパーという呼称よりも、医療に貢献する専門職としてのイメージを強調するものでした。MRという呼称は、医師や薬剤師などの医療従事者からも広く受け入れられました。

しかし、MRの呼称の変更や規制の導入だけでは、MRの資質向上と社会的信頼の確保には不十分でした。MRの教育研修についても、企業間での水準の差や、内容の偏りや不足などが依然として問題視されました。そこで、MRの資格制度の必要性が再び議論されるようになりました。

1997年~2020年:MR教育研修要綱の時代

この時代は、MR認定試験が始まった時期です。MR認定試験とは、MRとして必要な基礎知識を客観的に評価するための試験です。MR認定試験は、公益財団法人MR認定センターが実施しています。MR認定試験は、1997年から年2回、2001年から年1回、全国の試験会場で実施されています。MR認定試験の合格者には、MR認定証が交付されます。MR認定証は、5年ごとに更新する必要があります。

MR認定試験の実施に伴い、MRの教育研修についても、MR教育研修要綱が制定されました。MR教育研修要綱は、MRに対して必ず実施する教育研修の基準として策定されたもので、MR認定センターが管理しています。MR教育研修要綱には、MRの教育研修の目的、内容、方法、期間などが定められています。MR教育研修要綱に基づいて、MRに対する教育研修制度が運用されています。

MR教育研修要綱による教育研修は、以下の3つの段階に分かれています。

  • 導入教育:MRとしての基礎知識と技能を身につけるための教育。6ヶ月間の期間を定め、薬学、医学、法規制、倫理、コミュニケーションなどの科目を学ぶ。導入教育の修了認定を受けることが、MR認定試験の受験資格となる。
  • 継続教育:MRとしての専門性と倫理観を高めるための教育。毎年、最低20時間の学習を行うことを義務付け、最新の医薬品情報や医療動向などを学ぶ。継続教育の修了認定を受けることが、MR認定証の更新の条件となる。
  • 実務教育:MRとしての実践力を向上させるための教育。実際の医療現場での情報提供活動や、先輩MRからの指導やフィードバックなどを通じて学ぶ。

MR教育研修要綱による教育研修は、MRの資質向上と社会的信頼の確保に寄与しましたが、それでもなお、MRの活動に対する社会的な要求は高まりました。特に、MRの活動が、医師の処方行動に影響を与えることや、医療費の増加につながることなどが指摘されました。また、MRの教育研修についても、内容の偏りや不足などが問題視されました。そこで、MRの資格制度の見直しや改善が求められるようになりました。

2021年~2023年:MR認定要綱の時代

この時代は、MR認定制度が改定された時期です。MR認定制度とは、MRの資質向上と社会的信頼の確保を目的とした制度です。MR認定制度は、MR認定センターが管理しています¹。MR認定制度は、2021年から施行された新しい制度で、それまでのMR教育研修要綱に基づく制度とは大きく異なります。MR認定制度の改定は、MRの活動に対する社会的な要求の高まりや、医療環境の変化に対応するために行われました。

MR認定制度の改定に伴い、MRの教育研修についても、MR認定要綱が制定されました。MR認定要綱は、MRに対して必ず実施する教育研修の基準として策定されたもので、MR認定センターが管理しています。MR認定要綱には、MRの教育研修の目的、内容、方法、期間などが定められています。MR認定要綱に基づいて、MRに対する教育研修制度が運用されています。

MR認定要綱による教育研修は、以下の3つの段階に分かれています。

  • 導入教育:MRとしての基礎知識と技能を身につけるための教育。6ヶ月間の期間を定め、薬学、医学、法規制、倫理、コミュニケーションなどの科目を学ぶ。導入教育の修了認定は、MR認定試験の合格とする。MR認定試験の受験資格はなく、個人学習でも受験が可能となる。
  • 継続教育:MRとしての専門性と倫理観を高めるための教育。毎年、最低20時間の学習を行うことを義務付け、最新の医薬品情報や医療動向などを学ぶ。継続教育の修了認定は、MRポータルに搭載された基礎教育年次ドリルの全問正解による終了とする。企業独自の仕組みによる個人学習は認めない。
  • 実務教育:MRとしての実践力を向上させるための教育。実際の医療現場での情報提供活動や、先輩MRからの指導やフィードバックなどを通じて学ぶ。

MR認定要綱による教育研修は、MRの資質向上と社会的信頼の確保に寄与すると期待されていますが、まだ施行されたばかりで、その効果や課題は今後の検証が必要です。

2024年以降:MR認定要綱改訂版の時代

この時代は、MR認定要綱が改訂された時期です。MR認定要綱は、MRに対して必ず実施する教育研修の基準として策定されたもので、MR認定センターが管理しています⁵。MR認定要綱は、2021年から施行された新しい要綱で、それまでのMR教育研修要綱に基づく要綱とは大きく異なります。MR認定要綱の改訂は、MRの活動に対する社会的な要求の高まりや、医療環境の変化に対応するために行われました。

MR認定要綱の改訂に伴い、MRの教育研修についても、以下のように変更されました。

  • 導入教育:MRとしての基礎知識と技能を身につけるための教育。6ヶ月間の期間を定め、薬学、医学、法規制、倫理、コミュニケーションなどの科目を学ぶ。導入教育の修了認定は、MR認定試験の合格とする。MR認定試験の受験資格はなく、個人学習でも受験が可能となる。導入教育の内容は、2023年に策定されたコアカリキュラムに基づく。
  • 継続教育:MRとしての専門性と倫理観を高めるための教育。毎年、最低20時間の学習を行うことを義務付け、最新の医薬品情報や医療動向などを学ぶ。継続教育の修了認定は、MRポータルに搭載された基礎教育年次ドリルの全問正解による終了とする。企業独自の仕組みによる個人学習は認めない。継続教育の内容は、2024年に改訂されたコアカリキュラムに基づく。
  • 実務教育:MRとしての実践力を向上させるための教育。実際の医療現場での情報提供活動や、先輩MRからの指導やフィードバックなどを通じて学ぶ。実務教育の内容は、2024年に改訂されたコアカリキュラムに基づく。

MR認定要綱改訂版による教育研修は、MRの資質向上と社会的信頼の確保に寄与すると期待されていますが、まだ施行されたばかりで、その効果や課題は今後の検証が必要です。

MR認定試験の今後

MR認定試験は、2026年度から大きく変わることが決まっています。試験の受験資格が撤廃され、試験の合格が導入教育の修了認定となります。また、継続教育や実務教育の内容や方法も変更されます。これらの改革は、MRの資質向上と社会的信頼の確保を目的としています。

私は、この改革によって、MR認定試験は以下のような影響を受けると予想します。

  1. 受験者数の増加:受験資格がなくなることで、在学中の学生や文系出身者など、これまで受験できなかった人々が受験できるようになります。特に、薬学部や医学部などの医療系学生は、MRとしてのキャリアを視野に入れやすくなります。また、試験の回数や方法も柔軟になることで、受験の機会が増えます。これらのことから、受験者数は大幅に増加すると考えられます。
  2. 合格率の低下:受験者数が増える一方で、試験の難易度は高くなると予想されます。試験の内容は、薬学教育4年次までの内容を習得していれば合格できるレベルとされています2。しかし、実際には、薬学や医学の知識だけでなく、法規制や倫理、コミュニケーションなどの幅広い分野についても問われるでしょう。また、試験は一定割合を不合格とするのではなく、一定基準のレベルに達している者を合格とする必要があります3。これらのことから、合格率は低下すると考えられます。
  3. 採用戦略の変化:試験に落ちるとMR活動ができなくなることで、製薬企業の採用戦略にも影響が出ると予想されます。一方で、試験に合格した者は、導入教育の費用や期間を節約できるというメリットがあります。これらのことから、製薬企業は、試験に合格した者だけを採用するというスタンスをとる可能性があります。また、試験に合格した者の中から、薬学や医学の知識や技能、コミュニケーション能力などの専門性や倫理観を重視する傾向が強まると考えられます。

以上が、MR認定試験の今後についての私の予想です。MR認定試験は、MRという職種の社会的な地位や役割に応じて、常に変化してきました。MR認定試験は、MRの資質を高めるだけでなく、医療の質の向上にも貢献する重要な制度です。MR認定試験に関心のある方は、MR認定センターのホームページをご覧ください。





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