製薬企業のリストラ ~総まとめ~ 人員削減の大波に備える

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概要

  • 2022年から2024年にかけて、日本の製薬業界では多くの企業が早期退職や人員削減を実施しました。その背景には、国内市場の停滞、特許切れや後発品の影響、新型コロナウイルス感染症の影響などがあります。以下に、主な製薬企業のリストラの内容と理由をまとめてみます。

内資系製薬企業

アステラス製薬

  • 2022年に500人、2024年に500人程度の早期退職者を募集しました。対象は営業部門の社員で、MR(医薬情報担当者)の数は1200人から800人程度に減少する見込みです。
  • リストラの理由は、医師と直接会わない情報提供手段が広がっていることや、スペシャリティ領域に事業の中心がシフトしていくことから、将来的な生産性を見据えて先手を打ったためです。

中外製薬

  • 2024年に374人の早期退職者を募集しました。対象は満40歳以上の正社員とシニア社員で、MRの数は1200人から1050人に減少しました。
  • リストラの理由は、新型コロナ治療薬「ロナプリーブ」の販売が一時的なものであることや、多くのMRを必要としないスペシャリティ領域に事業の中心が一層シフトしていくことから、業界平均を大きく上回るMRの生産性を維持するためです。

塩野義製薬

  • 2024年に約200人の早期退職者を募集しました。対象は50歳以上の社員で、製造関連部門を除外していました。退職者のうちMRは200人近くに上りました。
  • リストラの理由は、海外事業の拡大を掲げており、人員の再配置が進められていることや、営業組織の若返りを図ることから、新卒採用を増やしていく方針であることです。

大正製薬ホールディングス

  • 2022年に645人の早期退職者を募集しました。退職者は医療用医薬品を扱う医薬事業が中心で、支店の閉鎖に伴う退職もありました。
  • リストラの理由は、医薬事業の売上高が大幅に縮小し、事業をいったんリセットする形で組織を見直したためです。同社は2022年にMBO(経営陣による買収)を行い、上場廃止となる見通しです。

参天製薬

  • 2022年に180人の早期退職者を募集しました。対象は50歳以上かつ勤続3年以上の社員で、製造関連部門を除外していました。
  • リストラの理由は、国内市場の成長が鈍化していることや、海外展開に向けて人員の再配置が必要であることから、経営効率化を図ったためです。

外資系製薬企業

ファイザー

  • 2023年6月に、日本法人で約200人の人員削減を発表しました。対象は営業部門の社員で、MRの数は約1000人から800人に減少しました。
  • リストラの理由は、新型コロナウイルス感染症の影響で医師との対面訪問が困難になり、営業活動の効率化が必要となったためです。同社はデジタル化やスペシャリティ領域に事業の中心を移行していく方針です。

バイエル薬品

  • 2023年3月に、日本法人で400人規模の人員削減を発表しました。対象は営業部門の社員で、MRの数は約1200人から800人に減少しました。
  • リストラの理由は、特許切れや後発品の影響で売上が減少したことや、事業の再編に伴う経営効率化のためです。同社はデジタル化やスペシャリティ領域に事業の中心を移行していく方針です。

ヤンセンファーマ

  • 2022年11月に、日本法人で「ポジションクローズ」と呼ばれる手法で人員削減を実施しました。対象は営業部門の社員で、MRの数は約1200人から900人に減少しました。
  • リストラの理由は、特許切れや後発品の影響で売上が減少したことや、事業の再編に伴う経営効率化のためです。同社はデジタル化やスペシャリティ領域に事業の中心を移行していく方針です。

ノバルティスファーマ

  • 2022年10月に、日本法人で約300人の人員削減を発表しました。対象は営業部門の社員で、MRの数は約1000人から700人に減少しました。
  • リストラの理由は、特許切れや後発品の影響で売上が減少したことや、事業の再編に伴う経営効率化のためです。同社はデジタル化やスペシャリティ領域に事業の中心を移行していく方針です

製薬企業の今後

  • 製薬業界は、新型コロナウイルス感染症の影響や特許切れ、後発品の普及、デジタル化の進展などにより、大きな変化に直面しています。
  • これらの変化に対応するために、製薬企業は事業の再編や経営効率化を図り、人員削減や早期退職を実施しています。
  • 特にMRの数は、2013年度をピークに減少が続き、2023年3月末の時点で約5万人にまで減少しています3。今後もリストラは続くと予想され、MRの数は4万人以下になる可能性もあります。
  • MRに求められるものも変わってきており、医療現場からの情報収集や分析、症例ベースの情報提供、市場分析に基づく営業スキル、専門領域の高度な知識などが重要になっています。 MRのキャリアパスとしては、MRとしてキャリアアップする場合や、MR経験を活かして同業態で別職種に進む場合、MR経験を活かして別業態に転職する場合などがあります。

転職について

参考となるサイトをいくつか掲載します。


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