製薬業界におけるMR(医薬情報担当者)の役割は、近年大きな変化を遂げています。特に、リストラの波と生産性の向上が注目されています。この記事では、具体的なメーカー名を含めて、MR一人あたりの生産性とリストラの関係性について詳しく探ります。
MRの減少と生産性の向上
2023年3月末時点で、国内のMR数は前年度比で2963人(6.0%)減少し、4万6719人となりました。この10年間で約1万9000人が営業現場から姿を消し、MR数の減少は10年連続で続いています。一方で、MR一人あたりの生産性は上昇し続けており、2023年度には薬価ベースで2.43億円に達しました。これは、10年前の1.6倍に相当します。
リストラの影響
大手製薬企業では、早期退職者の募集や人員削減が進んでいます。例えば、アステラス製薬は2018年3月末時点で2400人いたMRを2023年8月までに半分に削減し、さらに2024年4月1日時点で800人まで減少させました。この結果、1人あたりの生産性は急上昇し、2024年度には3.48億円に達する見込みです。
住友ファーマでは、2023年度の国内製品売上高が1054億円に対してMR数は910人で、生産性は1.16億円にとどまっています。2024年度には早期退職者募集により、計算上1.7億円程度に上昇する見込みですが、業界平均には達していません。
中外製薬は、2024年の国内売上高予想が4549億円、MR数が1050人で、生産性は4.33億円と高い水準を保っています。
第一三共は、2024年度の国内売上高予想が4349億円に対してMR数が1700人で、1人あたりの生産性は2.56億円です。
ファイザーやノバルティスファーマ、バイエル薬品、ヤンセンファーマなどの外資系企業もリストラを行っており、MR数の減少とともに生産性の向上が見られます。
業界全体の動向
MR数の減少は大手企業だけでなく、後発医薬品メーカーにも影響を及ぼしています。日本ジェネリック製薬協会加盟企業では、MR数が14.9%減少しました。また、オンラインMRの導入も進んでおり、2023年度には40社がWebや電話のみで活動するMRを導入しています。
リストラと生産性向上の関係性
リストラとMR一人あたりの生産性向上には密接な関係があります。以下にその関係性を説明します。
リストラの影響
リストラは、企業がコスト削減や効率化を図るために行う人員削減の一環です。製薬業界では、特にMRの数が減少しています。例えば、アステラス製薬は2018年から2023年にかけてMRの数を半分以下に削減しました。
生産性の向上
MRの数が減少する一方で、一人あたりの生産性は上昇しています。これは、残ったMRがより多くの業務をこなす必要があるためです。具体的には、2023年度のMR一人あたりの生産性は薬価ベースで2.43億円に達し、10年前の1.6倍に増加しました。
関係性の要因
- 業務の効率化: リストラにより、企業はより効率的な業務プロセスを導入することが求められます。これにより、MR一人あたりの業務負担が増え、生産性が向上します。
- 技術の導入: デジタルツールやオンラインMRの導入が進んでおり、これが生産性向上に寄与しています。2023年度には40社がWebや電話のみで活動するMRを導入しています。
- 専門性の向上: リストラ後に残ったMRは、より専門的な知識やスキルを持つことが求められます。これにより、医療関係者とのコミュニケーションが効率化され、生産性が向上します。
今後の展望
MR数の減少が続く中で、生産性の向上は今後も重要な課題となります。現在のペースで減少が続けば、2028年度にはMR一人あたりの生産性が3.46億円に達する見込みです。
リストラと生産性向上のバランスを取りながら、製薬業界全体の効率化が求められています。
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