2024年度、武田薬品工業は事業構造の大規模な再編を発表し、その一環として1400億円の一時的な再編費用を計上することを明らかにしました。この動きは、組織の機動性の向上、支出の効率化、データ、デジタルおよびテクノロジー(DD&T)の活用に焦点を当てたものです。この記事では、その再編の背景、目的、およびMR(医薬情報担当者)のリストラに焦点を当てて考察します。
武田薬品の再編の背景
武田薬品は、グローバルな医薬品市場で競争力を維持し、成長を加速させるために、事業構造の再編を決定しました。この再編は、組織の機動性を高め、支出を効率化し、DD&Tの活用を強化することを目的としています。
再編の目的と内容
再編の主な目的は、成長製品と新製品の推進、強固な後期開発パイプラインの進捗、そして革新的な医薬品の患者への迅速な提供です。これにより、Core営業利益率の改善目標「30%台前半から半ば」を達成することも期待されています。
再編の内容は以下の通りです
・人員の最適化策を伴う組織構造の簡素化
・研究開発パイプラインの厳格な優先順位付け
・組織全体での生産性と効率性の向上を図るためのDD&Tへの投資
・調達コストの最適化(サプライチェーンおよびベンダー管理プロセスにおけるコスト削減と効率化)
これら広範な取り組みにおける個別の実施策の詳細やタイミングは適切な時期に決定する予定
MRのリストラとその影響
事業構造再編の一環として、MRのリストラが行われることが予想されます。MRは、医薬品の情報を医療従事者に提供し、販売促進を行う重要な役割を担っていますが、デジタル化の進展により、その役割が変化しています。過去にも武田薬品は、組織の再編を通じてMRのポジションを減らし、リストラを実施してきた経緯があります。
武田薬品のリストラの歴史
武田薬品は、過去10年間にわたり、組織の大規模な再編を断行してきました。この期間には、国内研究所の解体や、日本人社員の大規模なリストラが行われました。特に、MRのリストラは、業界内で大きな話題となり、多くの社員が定年を待たずに退職を余儀なくされました。
武田薬品のリストラの歴史
■2020年8月
武田薬品は希望退職者の募集を発表しました。対象は国内営業部隊のMRで、30歳以上、勤続3年以上の条件でした。応募者は同年11月末に退職し、300~500人ほどが応じたとみられます。
■2021年12月
武田薬品は管理部門で希望退職を募集しました。100人以上が在籍しているとみられ、退職日は12月末でした。42歳以上で勤続3年以上などの条件を満たした人が対象で、募集人数の上限は設けませんでした。
今後のリストラの見込み
武田薬品は、近年のリストラの間隔が短くなっており、特に管理部門での希望退職者募集が行われています。これは、武田薬品が研究や営業部門での大規模なリストラに続き、間接部門でもコスト効率を高めるための措置と見られます。
また、今回の事業構造再編に関して、ウェバー社長は、「人員削減も含まれている」と明言しています。
今後も武田薬品は、経営の効率化とグローバル競争力の強化を目指してリストラを続ける見込みです。
結論
武田薬品の事業構造再編は、企業の未来にとって重要なステップです。MRのリストラは、変化する医薬品市場に適応するための必要な措置であり、組織全体の効率化と成長に寄与することが期待されます。今後のリストラの動向は、武田薬品だけでなく、医薬品業界全体にとって重要な指標となるでしょう。
事業の成長とCore営業利益率の改善を促進する全社プログラムについて
https://www.takeda.com/jp/newsroom/newsreleases/2024/takeda-announces-enterprise-wide-program-to-support-growth-and-deliver-core-operating-profit-margin-improvement/
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