2024年2月21日、厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課は、販売情報提供活動ガイドライン(以下、GL)のQ&Aについて事務連絡を発出しました。この連絡では、「他社製品との比較情報」についての取り扱いが明示され、医師または薬剤師の求めに応じた比較情報を提供する行為自体は、「当該規定には抵触しない」と明記されました。
比較情報の提供について
比較情報の提供については、以下の4つの要件を全て満たすことが求められています。
- 情報提供する内容は、要求内容に沿ったものに限定するとともに、情報提供先は要求者に限定すること。また、提供情報を要求内容に沿ったものとするため、当該医師又は薬剤師に対し、求められている具体的な情報を確認すること。
- 医療関係者・患者等から情報提供を求められていないにもかかわらず、求められたかのように装わないこと。
- 提供する情報は、虚偽・誇大な内容であってはならず、科学的・客観的根拠に基づき正確なものでなければならないこと。また、他社製品にとって不利となる情報のみを恣意的に選択しないこと。
- 直接比較することが科学的に適切ではない場合はその旨及びその理由等も提供するなど、正確な理解を促すために必要な情報を提供すること。
これらの要件を満たすことで、医療従事者からニーズの高い有効性を比較した一覧表なども提供可能とされています。
販売情報提供活動ガイドラインの背景
販売情報提供活動GLは、ディオバン事件やCASE-J事案などの臨床研究不正などを通じ、明確な虚偽・誇大には至らないものの不適切使用を助長する行為や、研究論文などで企業側の関与が判断しにくい行為も指摘されてきたことを踏まえて策定されました。
このため、GLには、不適正使用又は誤使用を誘発しないよう、「他社製品を誹謗、中傷すること等により、自社製品を優れたものと訴えること」を行わないよう、明記されています。
医療従事者のニーズに合致した情報提供
比較情報について明確な禁止事項はないが、製薬企業側が販売情報提供活動GLや製薬協のコードへの抵触を恐れ、独自にルールを定めているケースも多いです。このため、医療従事者からは、企業間で対応に差があるなど、医療従事者のニーズに合致した情報提供がなされていない実態が指摘されていました。
今回のQ&A発出で、比較情報が提供できる場面を整理し、医療従事者のニーズに合致した情報提供を後押しすることを目指しています。
まとめ
厚生労働省の新たなQ&A発出は、医師や薬剤師からの比較情報の求めに対する製薬企業の対応を明確にし、医療従事者のニーズに合致した情報提供を推進するものです。これにより、製薬企業は、科学的・客観的根拠に基づく比較情報を提供することで、医療従事者の意思決定を支援し、患者の治療に貢献することが期待されます。
https://www.jsco.or.jp/Portals/0/2_PDF/2024/2024_02/20240228.pdf
厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課 医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドラインに関する Q&Aについて(その4)
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