製薬企業のパイプラインと将来性

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こんにちは、今回は、製薬企業のパイプラインと将来性について、2023年の情報を中心にお伝えしたいと思います。

パイプラインとは

まず、パイプラインとは何でしょうか。パイプラインとは、製薬企業が開発中の新薬や新規適応の候補品目のことです。パイプラインは、製薬企業の研究開発力や将来の収益源を示す重要な指標です。パイプラインの充実度や多様性は、製薬企業の競争力や成長性に影響します。

パイプラインは、臨床試験の段階によって分類されます。臨床試験とは、新薬の安全性や有効性を確認するために行われる人間を対象とした試験です。臨床試験は、第1相(P1)、第2相(P2)、第3相(P3)、承認申請(NDA)の4つの段階に分かれます。一般的に、P1は新薬の安全性や適切な用量を調べるために数十人の健康な被験者に行われます。P2は新薬の有効性や副作用を調べるために数百人の患者に行われます。P3は新薬の有効性や安全性を確認するために数千人の患者に行われます。NDAは新薬の承認を申請するために行われます。各段階には、進行中の試験(ongoing)、完了した試験(completed)、中止した試験(terminated)などのステータスがあります。

パイプラインの情報源

製薬企業のパイプラインの情報は、各社のホームページや報告書、プレスリリースなどで公開されています。また、専門のメディアやコンサルティング会社なども、定期的にパイプラインの分析や予測を行っています。私は、これらの情報をもとに、2023年の情報を中心に、製薬企業のパイプラインと将来性について調べてみました。以下に、主要な製薬企業のパイプラインの概要と、注目すべき新薬や新規適応の候補品目を紹介します。

パイプラインの数は、アストラゼネカ、中外製薬、ファイザーの3社がトップを占めています。これらの企業は、がん、免疫疾患、心血管疾患、感染症などの多様な領域で、多くの新薬や新規適応を開発しています。また、第一三共、アッヴィ、エーザイ、大塚HDなども、パイプラインの数で上位にランクインしています。これらの企業は、中枢神経系、代謝性疾患、消化器疾患などの領域で、強みを発揮しています。一方、武田薬品工業、塩野義製薬、小野薬品工業などは、パイプラインの数でやや劣っています。これらの企業は、がんや免疫疾患などの競争の激しい領域で、差別化の難しさに直面しています。

注目すべき新薬や新規適応の候補品目

次に、2023年に承認されたり、承認が期待されたりする、注目すべき新薬や新規適応の候補品目をいくつか紹介します。

  • アストラゼネカの**デュルバルマブ(Imfinzi)**は、非小細胞肺がん(NSCLC)の治療薬として、2023年2月に承認されました。デュルバルマブは、PD-L1というがん細胞の表面にある分子を阻害することで、免疫系の攻撃を促進する抗がん剤です。デュルバルマブは、NSCLCの手術不能なステージ3の患者に対して、放射線療法と併用することで、無増悪生存期間(PFS)を延長することが示されました。デュルバルマブは、日本では初めてのステージ3 NSCLCの治療薬となります。デュルバルマブは、他にも、小細胞肺がん(SCLC)や膀胱がんなどの適応拡大を目指しています。
  • 中外製薬の**ベムペド酸(Nilemdo)**は、高コレステロール血症の治療薬として、2023年3月に承認されました。ベムペド酸は、コレステロールの合成を抑制することで、血中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を低下させる薬剤です。ベムペド酸は、スタチンという従来のコレステロール低下薬に対して、効果が不十分な患者や、副作用が耐えられない患者に対して、有効で安全であることが示されました。ベムペド酸は、日本では初めての非スタチン系のコレステロール低下薬となります。ベムペド酸は、他にも、家族性高コレステロール血症や動脈硬化症などの適応拡大を目指しています。
  • ファイザーの**タネズマブ(Tanezumab)**は、骨関節炎の治療薬として、2023年4月に承認申請されました。タネズマブは、神経成長因子(NGF)という痛みを増幅させる分子を阻害することで、骨関節炎の痛みを緩和する抗体薬です。タネズマブは、骨関節炎の患者に対して、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と比較して、痛みの改善や機能の回復に優れた効果を示しました。タネズマブは、日本では初めてのNGF阻害薬となります。タネズマブは、他にも、慢性腰痛やがん性疼痛などの適応拡大を目指しています。
  • 第一三共の**ミラベグロン(Betmiga)**は、過活動膀胱の治療薬として、2023年5月に承認されました。ミラベグロンは、膀胱の平滑筋の収縮を抑えることで、頻尿や尿失禁を改善する薬剤です。ミラベグロンは、過活動膀胱の患者に対して、抗コリン薬と比較して、同等の効果を示しながら、口渇や便秘などの副作用を減らすことが示されました。ミラベグロンは、日本では初めてのβ3受容体作動薬となります。ミラベグロンは、他にも、前立腺肥大症や神経因性膀胱などの適応拡大を目指しています。
  • アッヴィの**リスアンキサベント(Rinvoq)**は、関節リウマチの治療薬として、2023年6月に承認申請されました。リスアンキサベントは、JAKという炎症を引き起こす酵素を阻害することで、関節リウマチの症状を緩和する薬剤です。リスアンキサベントは、関節リウマチの患者に対して、メトトレキサートと比較して、関節の腫れや痛みの改善や機能の回復に優れた効果を示しました。リスアンキサベントは、日本では初めてのJAK1選択的阻害薬となります。リスアンキサベントは、他にも、乾癬性関節炎や炎症性腸疾患などの適応拡大を目指しています。
  • エーザイの**レンバチニブ(Lenvima)**は、甲状腺がんの治療薬として、2023年7月に承認されました。レンバチニブは、がんの血管新生や増殖を阻害することで、甲状腺がんの進行を抑制する薬剤です。レンバチニブは、甲状腺がんの患者に対して、放射性ヨウ素治療に抵抗性の場合に、無増悪生存期間(PFS)を延長することが示されました。レンバチニブは、日本では初めての甲状腺がんの治療薬となります。レンバチニブは、他にも、肝細胞がんや腎細胞がんなどの適応拡大を目指しています。


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